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白く輝く王宮の廊下を高く透き通った靴音をたてて、ツバサは歩いていた。 騎士隊の制服である純白のマントを風に靡かせ、堂々と歩くその姿は16歳と言えど十分に風格があった。 ツバサは一際大きな、装飾の素晴らしい扉の前に立ち止まると、傍らに立つ兵に向いた。 「王国騎士隊一番隊副隊長、ツバサ・ナタラージャ。王に謁見いたしたく参上しました。」 「畏まりました。では扉をお開けいたします。」 観音開きの扉を左右の兵士が開けると広い部屋の内部が目に映る。 歩いて部屋の中央まで行くとすぐに膝を折り、片膝立ちの状態になり頭を下げた。 正面上座にいる国王に、敬意を示しているのだ。 「ツバサ・ナタラージャ、参上つかまつりました。」 「面を上げよ。」 低い男声を聞いて、顔を上げる。 「今日、おぬしを呼んだのは他でもない、前々から言っている娘の事だ。」 「はい。承知しております。」 「12の頃から娘は城を出て社会を学んでいるが、最近革命軍の動きが活発化してきた。おぬしには娘の通っている学校に編入し、娘の警護にあたってもらいたい。くれぐれも護衛が付いた事を娘にばれてしまわないように、自然に接するのだぞ。」 娘が城を出る、というのはこの国でのしきたりだ。次期王となる者は12歳になると城を出て1人で生活し、社会の実態を自らの目で理解する。そして六年間学校で学んだ後、城に戻り王位を継承する。
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