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「……黒いリオレウス」
……小さくつぶやく私の脳裏を――――
不意によぎるあの草原地帯で遭遇した飛竜――――――
「もしかして……増加した森と丘地区の討伐依頼や、生息地域を越えたモンスターが増えた原因っていうのも………」
――黒いリオレウス――
全身にざわざわとめぐる悪寒
思い出しただけで体が震える――――
その遭遇は 必然であったのか―――――
私のこわばる表情に気がついた研究員が私にこう言った
「黒いリオレウス…………私たちが生物遺伝子研究の粋を集めて人工的に作り出した いわば 対飛竜用の生物兵器――――」
「対飛竜用生物兵器……………っ」
……いやな予感は的中する―――――
「…しかし作り出された飛竜だとしても、それは紛れもなく飛竜。我々が制御をする事はできず飛竜は無限に広がる空へと―――――……‥
私たちは行きすぎた力を手に入れてしまったため過ちを犯してしまったのです」
うつむきながら淡々と話す研究員
「…要するに研究所からの依頼というのは黒いリオレウスの討伐………‥」
そう言った私の顔を研究員は見つめ小さくうなずく
……外はいつの間にか雨が降り滴は大きくナバネアを打ちつけ――――――
私は立ち上がり小さくお辞儀をし 研究所を後にする―――
……体は今も震えていた――――――
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