追憶【超越する力】

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ナバネアに降り注ぐ春先の少し冷たい雨――――――― 繁華街に出されていた露店はいつの間にか姿を消しただ雨音だけが響いて 「……よし。」 研究所から宿屋に戻った私は村から持参した弾薬の調合作成に必要な道具のはいったリュックを手に宿屋を後にする ……ナバネアは巨大貿易都市 あつまる珍しい道具や秘薬 動物の皮や骨――――― 弾薬を作成するのに申し分ない環境がナバネアにはある 私は古くからの知り合いが店をかまえる老舗道具屋をたずねる―――――― 「すいませーん!」 私の声を聞き店の中から出てきたのは道具屋(大和屋)の五代目女若頭 キヨネ 「あらっ!ユズちゃん!お久しぶりやなぁ~。元気そうでなによりやわ!」 キヨネが28歳の若さにして老舗道具屋の若頭になったのには両親の他界による跡継ぎのもの キヨネの母親はキヨネが幼い頃に病に倒れ20歳時には父親を物資運搬依頼途中事故により亡くしていた。 その後は店を閉め細々と暮らしていたキヨネだったが 店を訪れる昔からの熟練ハンター達の熱い声に答え再び 《大和屋》店を開いたのだ 「キヨネさん。お久しぶりです!お元気そうで何よりですっ!私も相変わらず元気でやってますよ」 ニコリと微笑む私 「ん。そうみたいだね」 私の笑顔にキヨネも笑顔で答える ……弾薬調合――― 降りしきる雨音が何かを語りかけるかのように私の耳をふるわせ―――――― キヨネは予測していたかのように私を店の奥へとつれていった――――――
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