追憶【after ユズ】

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依頼開始まであと2日―――――― 「じょうずにできましたっ!」 ……大和屋に響くユズの歓喜の声――― ユズが大和屋にこもること約半日――――― 弾薬作成も予定よりも早く終わり 太陽も地平線の彼方へと沈み ナバネアは再び夜の街へと姿を変え―――― 「……よしっ!いきますかぁっ」 弾薬作成に使用した道具を手際よくまとめカウンターにいつものように使用金を置き ユズは大和屋を出る―――― 「こらっ!ユズちゃん!」 大和屋を出た私を呼びとめる声 パタパタと走りながら息を切らし駆け寄るキヨネ 「……もぅ!ユズちゃんはいつもお金だけおいて挨拶もなしに消えちゃうんやもなぁ!」 久方ぶりに走ったのかキヨネは膝に手を置き、顔を真っ赤にして私を見上げる 「ふふふっ。キヨネさん。運動不足!しかもスリッパ」 ニコニコしながら言う私にキヨネはよけいなお世話と言わんかのように恥ずかしそうに笑う 「…そうや!ユズちゃんにわたしたいものがあるのよ」 キヨネはそう言うとゴソゴソと手に持つ買い物袋をまさぐり 不思議な形をしたボウガンの弾薬らしき物を2つ取り出し私に差し出した 「……これは?」 不思議な形な不思議な色――――― まさに 怪しいとはこのこととユズは心の中でつぶやいた
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