追憶【動き出す運命の歯車】

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「………こんなとこで寝るからすぐに風邪ひくんだよ」 ……うつろな意識のなかユズは重たい瞼を持ち上げ声のした方へと目線をやる 「………――!!」 「ケイッ!」 ユズは 真昼からビールに酔い どうやらそのまま酒場で寝ていたようだ 「……ユズ…準備はできたか?」 どことなく不安そうに私に問いかけるケイ……… 「ん。バッチリだよ」 ―――私の答えに少し安心したケイは椅子に座りビールを頼む 「……まさか、ずっとここにいたんじゃないだろうな?」 ………私は強く反論しようとしたものの 先までの自分の姿を思い出し 喉元で言葉を飲み込む 「―――あっ」 ふと ユズが窓に目をやると既に外は真っ暗になり 空を綺麗に光輝く星が無数にちりばめられていた――――― 「………いよいよ明日だな」 ……少しの沈黙の後ケイが口を開く 「ん、そうだね…」 依頼前のほんの少しの間――――― ケイはこれ以上は依頼のことについて話すことはなかった ……夜も更け お互いを労い 旅の話を語る時間は あっと言う間に過ぎ去る――――――― 依頼開始まであと数時間―――――
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