第三章

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「何にしますか?」 俺が洋食の厨房へ近づいた時、厨房からいかにも給食のおばちゃんといった感じの女性が聞いてきた。 「じゃあAランチというやつをお願いします」 一番無難そうなものを選び、手際よく調理している様子をぼんやりとみていた。 「はい、Aランチだよ」 ハンバーグ、サラダ、スープ、ライスのお皿が次々カウンターに乗せられ、自分でお盆の上に置いていく。 他に食堂を利用している人はいないので、両親が座っているテーブルはすぐに分かった。 両親のテーブルに近づくと、周りとのあまりのアンバランスさに驚いた。 後ろから来た学園長でさえ驚いた様子をみせた。 「「「「いただきます」」」」 父さんはカツ丼にがっつき、母さんは純白のテーブルクロスなんて関係なしにうどんをすする。 なぜこんな雰囲気の食堂にこんなアンバランスなメニューを置いたのかと思ったが、逆を言えば食堂なのになんでこんな雰囲気にしてるのか疑問に思った。 「なかなか個性的なご両親ですね」 学園長が囁いた。あんただけには言われたくないと思ったが、否定は出来なかった。
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