第三章

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「速水!今日こそお前を捕まえてやる」 鬼の郷田こと郷田先生が俺のことを待ち構えていた。 「今日翔は遅刻してないじゃんかよ」 慶太が郷田に抗議した。 「そんなの関係ねえ。俺は速水を捕まえたいんだ」 郷田は当たり前のことであるかのように言う。 そんな中俺は何をしたのかと言うと…… 「先生今までお世話になりました!これは先生への今までの感謝の気持ちを記した手紙です。後で読んで下さい」 俺は先生に手紙を渡した。 「は、速水お前……」 郷田は驚きと感動で泣きそうになっている。そして郷田は手紙を着ていたスーツのポケットの中に入れた。 「それと先生これは先生への贈り物です」 俺は先生の手を掴み、贈り物を見せることなく先生の手に持たせ、先生の両手を開いた状態に近いまま外側から強く握りしめた。 何か潰れるような音がしたが、郷田はあまり気にした様子も見せず、手紙で感動した上に更に感動して、自分の両手を包み込むように握りしめる俺に対して涙を見せた。 「じゃあ先生またいつか会おうな」 俺は10秒ほど先生の固く両手を握りしめた後、別れを告げて校門を出ようとする。
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