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入って来たのは竜崎海翔だった。
間近で見ると入学式で見たときより更に美しく見える。しかし彼の眼差しはどこか冷たい感じがした。
竜崎は自分の名前を書かれた紙が貼ってある机を見つけ、席に座った。
それは剛史の右隣だった。
「君が竜崎だろ?
俺の名前は武山剛史だ。よろしく」
剛史は席に竜崎が座るやいなや自己紹介をし始めた。
「竜崎海翔だ。よろしく」
入学式で聞いた時よりはやや低音だったが、それでも一般的な高校生の男子と比べると高めの声で短く返答し、何もないんならこれ以上話しかけるなと言わんばかりに前を向き、何も書かれていないホワイトボードをただ見つめていた。剛史もそれ以上は話しかけなかった。
「翔、ちょっとこっちに来てくれ」
突然剛史は俺を呼ぶと、椅子から立ち上がって教室の外へと向かった。
俺もトイレでも行くのかなと思い、剛史に着いて行くことにした。
廊下には生徒の姿がちらほらとは見えるが、各教室間の距離が結構離れているためか、俺の教室の前には誰もいなかった。
「実はこの学園に入るに当たって、パソコンを使って色々なことを調べたんだ」
剛史は教室の前の廊下で少し小声になって話し始めた。
「俺も色々調べてみたけど普通科のことしかホームページにはなかったな」
俺は手紙が届いた後色々調べたことを思い出した。
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