第四章

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「ちょこちょこ変な点はあるけど、1番不可解なのはそれほど高い能力があるにも関わらず、その10年間に目立った功績などを挙げていないことだ。 国立能力研究所が目をつけるほどの才能を持った少年は、言わば日本の広告塔とも言える存在のはずだ。海外の国々に自慢と言ったら変だけど、紹介しててもおかしくない。日本国内ならなおさらだよ」 「その通り、国立能力研究所には膨大なデータがあるんだけど、そこをハッキングしても彼がそこに来たと言う情報以外は何も残されていないんだ。 だが、彼が国立能力研究所に入ってから10年後、彼は意外な所に現れる」 剛史の話しにはまだ続きがあり、俺は早く続きが聞きたくてしょうがなかった。 「彼が現れたのはアメリカだ。しかもH大学にだ。弱冠14歳にして彼はそこを卒業していた。どんな方法をとったのか未だに俺も分からない。だけど彼は間違いなく卒業しているんだ」 剛史は少し興奮気味に言った。 「ちょっと待て、日本とは違って海外の大学は飛び級が出来て、早く卒業出来るのは知ってる。だけどあのH大学だろ?その歳で入学できるのもおかしいし、何より卒業出来たのはおかし過ぎる。だけどなんで卒業の時のことしか情報がないんだ? それよりももっと謎なのは、世界トップクラスの大学を卒業してるのに、なんで日本の高校なんかに入学してるんだ?」 剛史の話を聞いて、疑問がたくさん生まれた。
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