第五章

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前列の1番左の生徒が立ち上がった。 彼はとにかく笑顔が印象的だった。おそらく小、中学校ともにクラスのムードメーカー的存在だっただろう。直感でそう感じた。 そして彼はそのまま教壇の上に立つと自己紹介を始めた。 「えっと俺の名前は加門雅裕と言います。 出身国は日本で、大阪から来ました。 サッカーが得意で、中学では全国大会に行きました。 これからよろしくお願いします」 彼は簡単に挨拶を済ますと一礼をして自分の席へと戻った。 「まあ今みたいな感じで簡単で良いからね。じゃあ次頼むよ」 先生が言った。 次の生徒はかなり大人しそうな女子だ。 顔立ちは少し鼻が高い点以外はいたって普通で、髪の色が茶色で、眼鏡をかけており、少し暗そうな雰囲気を漂わせている。もちろん眼鏡をかけているから暗そうと決めつけるわけではないが、第1印象はそんな感じだった。 「佐藤絵里香…… 出身国はイギリス…… お母さんが日本人でお父さんイギリス人…… よろしく……」 それだけ言うとすぐに席についた。
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