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「……」 俺はゆっくりと目を開けた。 けど、目の前にあるのは、自分の体さえ見えない暗闇。分かりやすく言えば、照明が落ちた映画館に似てる。 俺は一人、その空間であぐらをかいている。 「何回……見ればいいんだ……」 誰にも聞こえることの無い俺の呟きが、闇の中に溶けて消える。 ここは夢の中。物心ついた時から、何百回、何千回と見続けてきた。 正直これ以外の夢を、見たことが無い。 「……」 そして今日もまた、一人目覚めるのを待っていた。 いつもこの夢は俺が寝た直後にあって、俺が起きるまでずっとこのまま。 「はぁ……」 ため息が口から漏れる。 周りの奴らは、夢を見ている間は時間の経過を感じないという。 だが、俺の夢は違った。まるで起きている時と同じように、時間の経過を感じ、疲労もする。リアルなんだ。起きている時と、まったく変わらない。
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