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「アヤカさん。何考え込んでるんスか?もう着きますよ」
「……え?あ、はいはい」
いつの間にか結構な距離を歩いていたようだ。
木という木に両側を固められた海岸へと続く道。
杉という高くそびえる木で構築された雑木林は、太陽を遮断するわけでもないので、日差しは所々あたっていた。
ゆえにそこを歩く人に活気をプレゼントしてくれる。
アヤカの先程までいた学校からここまではおおよそ二十分。
徒歩なんだから、近い方だ。
そしてこの目の前に広がる大自然こそが『ホーマック』の特色。
比較的大都市であり、西警の本部もある中心街も、ほとんどが森で構成されている。
しかしこれもまた噂だが、『クガトゥス』の国ではこれらが絶滅したというから、更に驚きだ。
それらのない生活などアヤカは想像もできない。
が、
遥か彼方海の向こうの国ではそれが現状、それが普通。
いくら想像出来なくても、それが現実ならばと。
受け入れなくてはならない。
雑木林を抜けると、蒼く光る海が見えた。
太陽の光を浴びて輝くそれは、塗しすぎて、思わずアヤカは目を細めた。
カインの声が響く。
「あそこです」
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