49人が本棚に入れています
本棚に追加
カインの指差したところは今現在いるところから少し離れた砂浜。
波が一定のリズムをきざんで打ち寄せる、そんなところ。
そこに人だかりが出来ている。
どうやらアヤカたちの目指すところはあれで正しいようだ。
それがわかるとアヤカはまたしてもため息をつく。
(もっと大袈裟なもんだと思ったのに……)
そう、目の前にはただ人が群がっているだけ。
難破船も、水死体も、彼女が予想していたものは何もなかった。
それに尚更自身のいる意味を見失い、彼女は一度上げたはずのテンションを再び下げた。
けれど、ここまで来たからにはなにかをしなければならない。
子供たちと過ごす以上のドキドキ、ワクワクをひたすら願う彼女。
そのままじっとしているわけもなく、砂でジャリジャリうるさい砂浜の上を歩いていく。
そして、やじ馬のはびこる人だかりの前に到着した。
「ちょっとー、どいてくださーい。どいてくださーい」
最初のコメントを投稿しよう!