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それは遠い昔の話のようだった。
彼女は本に書かれた昔話をまるで唄うかのように、語りかける。
「ーーーーーーーー昔、昔あるところに二人の男がいました。
二人は大層仲が悪かったそうな。
いつも喧嘩をしていました。
今日もそうです。
二人の内、一人が言いました。
『未だそんなものをつけているのか?そんな古くて玩具のようなもの、さっさと身から払ってしまえ』
そう言われた男の身には白く、太陽の光を浴びて輝く甲冑。
右手には剣、左手には盾。
どちらもシルバーメタリック。
重そうだが、貫禄を見せ付ける素晴らしい装備。
指をつきつけられた彼はそれを誇りにして、身につけていました。
そんな彼が憤慨しないはずがありません。
彼も言い返します。
『何を言う。貴様こそ、そんな全身真っ黒な痛々しい外装をどうにかせんか。一緒にいるだけで寒気がするわ』
彼は自分の目の前にいる人間を、まるでウジムシでもみるかのような厳しい視線でにらみつけます。
睨まれた男は頭にはとんがり帽子を被り、身体は全身ローブ。
それらを全て黒で装飾していました。
その“魔術師”はそれを聞いて更に言い返します。
顔にはぴくぴくと青筋が浮き出ているのは言うまでもありません。
『これは痛々しいものなどではないっ!伝統ある“魔術師”の物だ!愚弄することは許さん!』
“魔術師”と自称した男は自らの服の袖から何かを取り出します。
それはビー玉くらいの小さな球。
太陽の日差しを浴びてそれは黄色く輝きました。
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