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『フハハハ!騎士よ。永き戦いに終止符を打つときがきたようだ。この天より降り注ぐ断罪の雷に焼かれるがいい!』
その声はまさに天から。
驚いた騎士は見上げますが、手遅れだったのです。
その黒く、一筋の光も逃さない雲から、高電流をまとったいにしえの魔物、“ドラゴン”が姿を現しました。
“ドラゴン”はその長い体を大蛇のようにくねらせ、空に君臨します。
騎士はしばらくはその美しく、青白く輝く姿に見とれていましたが、その姿から魔術師の声が発せられたのを思い出すと、再び剣を構えました。
『貴様っ……ついにそのような力を開放したのか。いいだろう、こい!叩き斬ってくれる!』
『お前ごときに我が魔術が破られることなどない!』
大地が轟き始めました。
ズシズシと二人の発するオーラのような圧力で、重量を失ったかのように周りの岩や草木が浮き始めます。
生物という生物は全て、行動をやめ、二人を見つめました。
まるでその戦いが後の自分達の運命を狂わせると知っているかのように。
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