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まだ自分が小学校に上がって間もない頃の夢だ。
幼い自分は家から少し離れた森に泥団子を持って駆けていく。
森に道は見あたらないが自分は行きたい場所への行き方を知っているようで、ためらいなく入っていった。
しばらくすると、狐の形をした小さな石像のある古びた祠へと着く。
石像の手前に泥団子と横の小川から水を酌んだものを置き、手を合わせて拝むと聞き取れないが何か一言呟いた。
用が済み、元来た道へと戻る途中に地鳴りのような音がしたので隣接した山を見上げると、崩れた土砂が自分へと襲いかからんとしている。
慌てて逃げようとはするものの足が竦んで動かない。
もう駄目だと覚悟した時
くぉん
と獣の声が響き、目の端には銀色の髪に白い着物を着た何か。
気がついたときには家の前で呆然と立ち尽くしていた。
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