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「相変わらず張コウのケーキは絶品じゃのぅ」
「えぇ」
口をもしゃもしゃさせながら喋るものだから上等なスーツの上に食べかすが零れ落ちている。そして勿論手はクリームまみれになってしまっていた。
曹操以外の人物が同じ状況だったなら張遼は確実に嫌な顔をするだろうが、むしろいい笑顔でそれを見つめている。
この上司が可愛くて仕方がないのだ。
ケーキも紅茶も曹操が今日残業することを分かっていて、わざわざ外回りに行くと偽装して買ってきた。
曹操病はあの夏侯惇等しく完全な末期である。
「旨かった!」
紅茶を飲み干すと満足そうに笑った。
そこで手の惨状に気がついたらしく近くに拭くものが無いと分かると、少し考えて指をを口の中へと突っ込んだ。一本ずつクリームを舐めとっていく。
指を入れ、水音を鳴らしながら抜き取る。その動作のいやらしいことといったらない。
「そ、曹操殿っ」
(色々な意味で)狼狽える張遼。
「ん?ほーひは?」
そんな張遼に曹操が喋ろうと緩い口から指を抜き取ると、口と指の間に銀糸がまたいだ。
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