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それは張遼のなけなしの理性を砕くには充分だった。
「張文遠、いざ参る!!」
「は?張遼……うむぅっ?!」
曹操の唇に張遼の薄い唇が重なった。啄むように、なんて表現できそうもないような口付け。
曹操は暫く思考が停止していたが、自分がされていることに気がつくと必死で抵抗し始めた。が、自分より二十センチ以上も背の高い張遼に適うはずもなくあっさり押さえつけられてしまった。
身動きできないことによってより深く合わさる。
「っ…ふ…ぅ……んん」
張遼の舌が歯列をなぞり、割って入ろうと蠢く。歯を噛みしめ入れさせまいとするものの首筋に手を這わされた瞬間、いとも簡単に侵入を許してしまった。舌が絡め取られ、吸いつく、たったそれだけで膝が笑い始め、支えられなければ倒れてしまいそうになる。
「…ぁ…、んぅ」
「ぅ…曹操…殿」
曹操がぐったりした頃ようやく唇が離れる。曹操の口元からどちらのものだか判らない唾液が伝った。
「ごちそうさまでした」
「張…遼…!」
潤んだ目で睨まれたが張遼は
「次はこんなものでは済みませぬぞ」
と小さく口端をつり上げて笑って、もう一度今度は触れるだけの口付けをした。
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