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もしかしたらこれは松野の作戦だったのかも知れない。
休み時間のたびに話しかけられたこともあり確実に俺の意識の一部は松野へと向いていた。
否、向かされていた。
(ちなみに、これがホントに狙ったモノだと俺が知るのは、まだだいぶ先の話だ)
こんな調子で、お互いがお互いを意識してしまえば、後は早いモノだ。
俺たちが付き合い始めるまで1ヶ月とかからなかった。
告白はどちらともなく、流れ的なものだった。強いてどちらからかと聞かれれば、松野(以後:ツバサ)からだった。
様々な事情により告白シーンはカットの方向で。
一例をあげるなら…
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「えと…へ、返事は…?」
まさか松野に先を越されるとは…綿密な計画が台無しだ。
自分から告白しようと考えていた俺は、全く考えていなかった可能性によって与えられたダメージにより、返事より先にそんなことを考えていた。
そんな俺の沈黙を悪い方に受けとめたのか、松野が悲惨な顔で問いかける。
「あ…、ご、ごめん。いきなり迷惑だったかな?返事はいいや。
てか忘れていいから」
「は?いや迷惑じゃねーし。
いや……、うん、OKOK。
松野さえ良ければ付き合うよ。」
「………………」
「なに?ときめくセリフでも欲しかった?」
「そりゃぁ女の子ですから、そういうセリフがあってもいいんじゃないかなあ?」
「そっか、じゃあ今度絶叫マシンに乗りにいこう‼」
「ひどっ。私が欲しいのはそういうドキドキじゃないもん」
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なんて、そんなやりとりをまじえて
俺とツバサは付き合いはじめた。
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