アイツと俺とライトノベル

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そんな俺がアイツと出会ったのはいつもの日課である下校時の本屋への寄り道のときだった。 俺が毎日通うこの本屋、周辺には大きな本屋がなく、古本屋ばかりなためこの時間はいつもけっこうな人が雑誌やコミックのコーナーに集まっている。 そんな喧騒を抜けて、俺は目当てのライトノベルのコーナーへ。 このコーナーにはまばらにしか人はこない。そのまばらな人達に俺も紛れて目当ての本を探し始めた。 そんなとき、気まぐれにふと横を見るとなにやら見覚えのある制服… まぁ当たり前か、俺の通っている高校の女子の制服である。 なぁんて、どうでもいい事を考えながらも目当ての本を発見。それに手を伸ばした時である。同じ本に横からもう一本の手が(触れ合った手は柔らかかった) 「「あ、すいません、どうぞ」」 なんて、低音と高音で異口同音のハーモニー🎵 相手を見るとさっきの同校の女の子だった。そして、目が合う事約3秒、その子の口が開く。 「あれ?川村君じゃない?てゆーか川村君だよね」 ??なぜこの子が俺の名を? 確かに俺は川村だが、いくら同じ学校でも俺はこの子の名前など知らない(というより、見覚えすらない) 彼女の問に対する俺の沈黙から全てを察したのか彼女の自己紹介が始まった。 「あれ?私の事わからない?というより知らない?えーと、一応同じクラスなんだけど…てか隣の席になったこともあるんだけどなぁ… まぁいいや改めて自己紹介、私の名前は松野 翼です。あらためて以後よろしく川村 一君」 言うなれば俺たちの出合いはひと昔前の少女マンガで使い古されたベッタベタな、王道とも言える偶然だった。
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