治安部隊の最後の矛先

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大統領がここまで杜撰な政策をするのには理由があった。 それは、愛娘アンナのためでもあったのだ。 死別した妻の生き写しとして彼が愛を尽くした。が、その愛は国民に分け与えようとはしなかった。 大統領はアンナのための贅沢を尽くすために増税を仕掛けたのだ。 そのせいで大統領は、ロリコンの無駄遣い大魔王などのあだ名がついた。   この日もアンナは父の前で悲しそうな顔をしていた。 「どうした?アンナ。」 「パパ、デモを止められないの?いや、国民の怒りを止められないの?」 「そのための治安部隊さ。大丈夫だよ、パパと治安部隊が君を守ってあげる。」 「そうじゃないわ!パパならあたしと同じくらい国民を愛してると信じていたのに…。」 「君はパパの姿を見て育っていればいい。」 「よくないわ。それに、何であたしの友達を殺したの?」 アンナの友達の数名も、大統領と戦って命を落としたのだ。 「アンナ、あいつらは我々の敵だ。友達とはそんなものではないだろ?」
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