治安部隊の最後の矛先

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次の日。 アンナは父に殺された友達の家を訪れた。 「おぉ、アンナちゃん!」 「私を…憎まないのですか?」 「憎き大統領の娘とはいえ、父の過ちを知ってる立派な方だ。」 「ごめんなさい、シルヴィアを守れなくて。」 「いいのよ。さぁ、中へお入り。孫も喜ぶよ。」 シルヴィアはアンナの小学校のクラスメートとしては最後の1人だった。大統領が立ち上げた取り壊しと呼ばれる処刑によって殺された。 取り壊しとは、死刑囚とその家族を皆殺しにするのだ。シルヴィアの母は、たらい回しにされていた急病人を助けようとしたが、院長がそれを拒否。彼女はこれを抗議しただけで死刑にされたのだ。 シルヴィアたちの遺体は彼女の父方の祖母が引き取っていた。近所の人たちにとっては、シルヴィアの母は勇気のある女性だと語られている。
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