治安部隊の最後の矛先

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「私の父が、いつもご迷惑をおかけして、申し訳ありません。」 「いいのよ。あなたが父の後継ぎになれば、素晴らしい大統領として英雄になれるわよ。」 「しかし、父には私を大統領の後継ぎにする気がありません。私に政治を変える力すら与えてくれません。私に力さえあれば…。」 「それより、アンナちゃんはこれからどうするのかな?」 「何かあったのですか?」 「デモ隊がアンナちゃんを狙っているわ。彼らは、アンナちゃんを大統領の目の前から消せば、大統領は目を覚ますだろうと考えたらしくてね。」 「心配いりません。私は覚悟ができています。父の目を覚まさせるためならば、死ぬのも怖くありません。国のための生け贄にされようとも、デモ隊に銃を向けられても、喜んで引き受けます。」 「アンナちゃん。あなたには息子たちの分まで生きていて欲しいのに。」 「私はそこまで背負えません。国の重さだけでも、耐えがたい痛みになりますから。」
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