怪談シリーズLv.1

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本格的な捜査が行われ、壁を壊しながら探した。 しばらくして、壁を掘り続けていた時だった。 1体の白骨が見つかった。 残された免許証から、内藤のものではないかとされた。やがて、歯形などから内藤の骨だということが確定した。 結局、その廃校は、取り壊されることになったのだ。   木戸は内藤の身に何があったのか理解していた。 内藤は男の霊に引き込まれたと。 だが、不可解な部分があった。 資料室と音楽室も3階にあったのに何故か…と。 後々わかったことだが、榎本たちはかなり大学や就職先で疲れていたのだ。 榎本は地震の日から急におかしくなったらしく、無気力症状により病院通いになっていた。 鈴村は地震で大学で世話になった親しい先輩を不運にも失っていて、悲しみの余り立ち直れなかった。 工藤は教職の研修などに追われ、やる気すら出なくなっていた。 山内は男勝りな雰囲気が災いして、望んだ就職ができなくなっていて、よくハローワークなどでトラブルを起こしていた。 内藤はよく木戸に、職場のメンツとよく口論になると電話やメールで相談することがある。 そして木戸自身も、地震でその日実家へ行った彼女を失ってから、後ろめたくなった。 おそらくあの男は、彼らの拭い去れないくらいの疲れに反応してしまったのだろう。
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