何も知らなくて

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契約書『右の署名において、如何なることが我が村の花嫁にあろうとも、村の掟に従って謹むことを誓います。』 雅信「どーゆー意味だ?」 里奈の兄「実は、うちの村の結婚式は古くからの教えに従ってるんですが、50年くらい前からちとトラブルがありまして、こうして契約書の署名を花婿様にさせとります。」 泰光「トラブルが?それって、何のトラブルっすか?」 里奈の兄「いや、何と言ったらいいか、その…そのトラブルがもとに、婚姻の取り消しが後を絶たなくて…。」 泰光「?」 里奈の兄「実は、うちの村の掟には、花嫁様は式の夜、境内で過ごすことになってます。」 雅信「何故だ?」 泰光「きっとアレじゃないか?」 泰光の言葉に雅信は顔をしかめた。というのも、コレと似たような話を聞いたことがあるからだ。だが、泰光がこういうのを理解してるハズは…                             泰光「ほら、村の神様にお祈りするんだよきっと。『私は明日から余所へ嫁ぐことを許し、安定した家庭のために見守って下さい』みたいなことをお願いするんじゃないか?」 なかった。
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