85人が本棚に入れています
本棚に追加
さて、その花嫁が儀式へ出掛けた時、雅信はトイレとタバコと称してこっそり後をつけることにした。
暗い夜道を歩き、辿り着いたのは境内だった。
花嫁は数人の男たちに囲まれて境内に入っていった。
雅信は耳をすませた。
そして、悟った。
次の朝。
雅信が病院に運ばれた。
夜道を喚きながら走り回り、足を滑らせて転んでしまったらしいのだ。
恐らく酔っ払って正気を失ったのではないかということだった。
だが、これだけでは終わらなかった。
その日儀式を受けた花嫁の夫が行方不明になったらしいのだ。
部屋にはメモが置かれてあって、『俺はもうあんたといられない』としか書かれておらず、荷物は置きっぱなしになっていた。
彼が行方不明になって捜索から半日後、旅館から西へ離れた林で自殺した後が見つかった。
雅信はこれを知って、まさかと思っていた。
泰光は理解できてなかった。
最初のコメントを投稿しよう!