いい子

8/10

85人が本棚に入れています
本棚に追加
/933ページ
夫は、家族を見ていないようだった。可奈と朝子はそんな父に絶望した。 「江利子か。」 「お父さん、どうしてお兄ちゃんを殺させたの?」 「いつか怜子と再婚するつもりだったんだ。お母さんと別れてな。」 「お兄ちゃんはお父さんを元に戻して欲しかったのよ!」 「帰ってきて。」 2人の声。 だが。 「帰らないよ。江利子も、俺のことは諦めなよ。」 「はい。」 娘が涙を流すことなど、江利子には関係なかった。   その後、朝子の希望で怜子との面会をした。 怜子を見た途端、可奈がいきなり泣きだした。 「可奈、どうしたの?」 「お姉ちゃん、怖いぃ!」 無理もない。可奈はまだ保育園児だ。朝子は憎しみの目で怜子を睨んだ。 「お父さんを誘惑し、お兄ちゃんを殺すなんて!」 「殺した?あの人…つまりあんたのお父さんが殺せと言ったから殺したんだよ。」
/933ページ

最初のコメントを投稿しよう!

85人が本棚に入れています
本棚に追加