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夫は、家族を見ていないようだった。可奈と朝子はそんな父に絶望した。
「江利子か。」
「お父さん、どうしてお兄ちゃんを殺させたの?」
「いつか怜子と再婚するつもりだったんだ。お母さんと別れてな。」
「お兄ちゃんはお父さんを元に戻して欲しかったのよ!」
「帰ってきて。」
2人の声。
だが。
「帰らないよ。江利子も、俺のことは諦めなよ。」
「はい。」
娘が涙を流すことなど、江利子には関係なかった。
その後、朝子の希望で怜子との面会をした。
怜子を見た途端、可奈がいきなり泣きだした。
「可奈、どうしたの?」
「お姉ちゃん、怖いぃ!」
無理もない。可奈はまだ保育園児だ。朝子は憎しみの目で怜子を睨んだ。
「お父さんを誘惑し、お兄ちゃんを殺すなんて!」
「殺した?あの人…つまりあんたのお父さんが殺せと言ったから殺したんだよ。」
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