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そして。
「江利子って言ったね。あんたさえいなければ殺さずに済んだのにな。早く死ねば?」
「はい。」
「お母さんに死ねだなんて!お父さんを返して!」
帰り道。
「あの女、悪い人?」
「そうだよ。あの女はお兄ちゃんを殺した最低な女よ。可奈、あんな女にはならないでね。」
「ところでお姉ちゃん。お母さんはどこ?」
「え?」
朝子は気付いた。
いつのまにか江利子がいない。
辺りを見回した時だ。
「お母さん!」
江利子が車道へ飛び出していた。
「お母さん!」
2人が母を止めに走った瞬間。
ギギー!
ドン!
ガシャーン!
一瞬のできごとだった。
軽自動車が江利子を避けたが、トラックが江利子の存在に気付かず撥ねた。
我に返った朝子が母の元へ走ったがもう遅い。
母の面影はもうない。
朝子は喚いた。
可奈は泣きだした。
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