楽しいこと

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「息子からだ。もしもし?」 『大変だ!あの女の子の本名がわかったぞ!』 「は?本名?」 『前原じゃなくて柳川だとよ!』 「はぁ?柳川?」 『多分柳川徹の娘かもしれない!警察が優希ちゃんの正体を調べてる!』   柳川優希による被害は拡大を増すばかりだ。 テストの点数が自分より低い生徒には容赦ない。 だからと言って、メンバーを叱ろうとも叱れない。すぐに優希が妨害するからだ。 優希の支配に生徒は疲れ果て、不登校や保健室通いが続出した。   ある日。 優希はスカスカの教室を見てこんなことを言いだした。 「先生、どうして最近欠席者が多いのですか?楽しい授業が受けられませんのに。」 「鬱病が流行ってるんだよ。」 「病気なんですか?」 「あぁ。一度かかったら治りにくい病気だ。だが、病気にかかっても症状が見つかりにくく、周りが気付けないのがよくある。」 「放っておくと死ぬ病ですか?」 「ひどければね。」 「薬では治せますか?」 「大抵は治せないことはない。だが薬を使おうが使うまいが、結果は同じことだ。治りにくいことに変わりはない。」 「手術では治せますか?」 「……前原、そもそも鬱病がどんなものか、知らないとダメだな。」
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