食い逃げ親子の記憶

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「畜生、また逃げられた。」 柴田は電車の横切る踏み切りで舌打ちした。 柴田の勤める喫茶店にて、実は食い逃げ被害が起きやすい。 店長が、地域の人たちの憩いの場としたいということで、始めたらしい。が、高校生バイトを雇ってから、食い逃げ被害が多発した。 柴田も高校3年生だが、正義感が強く、食い逃げを見れば追いに走るのだ。 柴田の高校では、喫茶店でのマナーの呼び掛けと食い逃げの撲滅の声が叫ばれているが、柴田が目を反らせばその隙に食い逃げする野郎が出ている。まるで効果なし。 この日も、柴田は食い逃げを追っていたが、追い付いたと思った時には、遮断機の向こう側だった。 犯人は高校生。 柴田は渋々戻るしかなかった。
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