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「葵!大変よ!」
艶やかな長い黒髪を風に靡かせ、大股で俺に詰め寄ってきた女。
髪と対照的に、白く極め細やかな肌。モデルだと言われると、誰もが納得できるほど整った容姿。
性格はサバサバして、男勝り。いや、男より断然カッコいいと思っているのは俺だけでない。
そんな彼女の名前は、沖田玲(おきたれい)。
情報の最先端を走り回っている、報道記者。家より、テレビのニュースの中継で姿を見る方が多い。
それが、俺の姉貴。
「なんだよ、朝早くに」
「だらしない!私なんて、さっき帰ってきたのに」
「姉貴がパワフルすぎるんだよ」
俺は呆れている姉貴を一瞥し、目を逸らしてから言った。
目を逸らしたのは、姉貴の怒った反応を見るのが恐いから。
怒った姉貴は、かなり恐い。
昔からの服従関係は、中々変えることが出来ないと、こういう時に強く実感してしまう。
話を元に戻すが、姉貴は朝早くから夜遅くまで、取材取材取材!の毎日を送っている。
しかも、それを好んでやっているんだから、質が悪い。
よくそんな生活が3年間も続くと、俺と母親は驚きを通り越して呆れ果てているほどの、仕事馬鹿だ。
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