蝶に執念を燃やす極悪人

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「で、何があったんだよ?」 長年、一緒に居た者だけが分かる、姉貴の微妙な感情の変化。 怒り、驚愕、喜びの感情が入り雑じった、いつもと違う複雑な表情と上擦った声。 「フン。腹立つぐらい鋭いわね」 悔しがりながらも、表情は喜んでいる姉貴を見て、多少は俺の実力を認めてくれているような気がした。 姉貴は母親とは違って滅多に誉めないから、尚更嬉しくなる。 「伊達にバイトで探偵をやってないんで」 「それは、叔父さんが探偵業をやっているからでしょう」 ほら。俺が調子に乗ったことを言うと、速攻で突き落とした。 「まあ、それもあるけど。んで、姉貴を動揺させたニュースって何だよ?」 「…………」 さっさと本題を切り出さないなんて、いつもの姉貴らしくない。 「まさか、男勝りな姉貴がセクハラを受けているとか?」 「違う!それに、男勝りは余計よっ!」 「んじゃ、何?」 わざと相手を挑発して、自分のペースへと乗せていく。俺がよく使う常套手段。 「それは……」 姉貴は一度口をつぐんだが、一呼吸した後、意を決したように俺と向き合った。
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