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一瞬の、間。
真剣に、まっすぐに真理の目を見つめるミカエル。
思わず目をそらせなくなった真理。
二人の視線が、交錯する――。
沈黙を破ったのは真理だった。
「は? バッカじゃないの?! 頭おかしいんじゃない?」
ミカエルから目をそらしたまま、早口でまくし立てる。頬が赤くなっているのは、怒りのためだろうか。
「あ、いや、あのさ……」
「とにかく、あたしは泥棒にもストーカーにも用はないの! とっとと出てって!」
そう言って、真理はミカエルの視線から逃げるように、背を向けた。
「いや、泥棒でもストーカーでもなくてさ、オレ、一応天使なんだけど……」
「はぁ? 天使? ますます頭がおかしいみたいね! いいから出てって!」
ミカエルの言葉に振り返った真理は、なおも言い募ろうとするミカエルを遮って、開け放たれた窓の方に彼を押しやった。……ここが二階であるということに、彼女が気づいているかどうか。
「ちょ、ちょっと待って!」
真理に押し出されそうになったミカエルが、思わず真理の両腕を掴む。自然、真理とミカエルが正面から向き合う形になった。顔をそらしていた真理もミカエルの方を向かざるを得ない。
「何すんのよ、離し……」
真理とミカエルの、目が合った。二人がそれぞれの顔をまじまじと見つめることになる。
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