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真理は、冬の街にいた。
吐く息も白く、凍えるような寒さの静かな夜。
真理の隣には、彼がいた。
真理は、お気に入りの白いコートに身を包んで、彼に寄り添うように身を寄せた。
――ペアの腕輪なんて、ちょっと照れるなぁ。
彼が言った。
まだ幼さの残る、少年の声。
「ふふ、そうだね。……でもうれしい」
真理は少しはにかんで笑った。
――ああ。もしもいつか離ればなれになっても、これがあればお互いを感じられる気がするな。
「嫌だよ、離れるなんて」
すがりつくように言った真理に、彼は優しく微笑みかけてくれた。
――もしも、の話だよ。そんな顔するなって。
そう言って彼は、真理の髪を撫でた。彼のぬくもりが、穏やかに伝わってくる。
――離れても、オレのこと忘れんなよ?
おどけて言った彼の言葉に、真理は強くうなずいた。
「忘れないよ、絶対」
すると彼は、リョウは、静かに微笑んで――。
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