蓬†椛

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母様の長いお話が終わると遅いからもう寝なさいと言われ自分の部屋に入った。おやすみなさいと言い母様は部屋から出ていく。 「‥‥椛は、好きな人とケッコンしたいよ」 椛はそう呟きそのまま眠りについた。一筋の涙を流しながら。 その翌日、フィアンセに会うのは来週だから楽しみに待ってようねと言い残し、母様は出かけて行った。椛は幼稚園に行かなければならなかったが、公園に行きたいと言い少しの間だが許しをもらって行った。 椛はこの公園で空を見るのが大好きだったから。いつもの場所に向かった。すると珍しいことに先客がいた。男の子のようだ。その子は突然空に向かって大きな声で叫んだ。 「オレは自分の好きな子とケッコンしたいんだ!」 泣きながら言い終わった後、力が抜けたようにその男の子は崩れていった。その時すでに椛の体は勝手に動いていた。気がつくと男の子を抱き締めていたのだ。 「椛も、好きな人とケッコンしたいよ‥‥」 男の子を抱き締めたまま今度は椛が泣き出してしまった。昨日我慢していた分が溢れて泣いてしまったのだろう。 急に泣きだした女の子を見てびっくりしていた男の子だがその拍子で泣きやんだらしい。その後は男の子がずっと椛を抱き締めていた。  
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