高橋を探せ

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「……なにしてんすか」 思わず口にしてしまう。 彩子さんは捨てられた子犬のように、申し訳なさそうな顔でボソボソと言った。 「……あのね……お金なくて帰れなかったの」 …なんてこったい。 あまりのマヌケっぷりに、思わずため息が出た。 「お、おろせばあるのよ?おろせば!時間外なのよ。深夜だし……」 ムキになって言い訳する姿がさらにマヌケだ。 なんか、可哀想を通り越して、笑える。 この人。 「…とりあえずあがってください。俺も今貸せるほど無いんで。高橋の部屋空いてるし、泊まっていいですから」 「うう…ごめんなさい。お邪魔します」 そういうと、彩子さんは小さい体をさらに縮めて、申し訳なさそうに部屋にあがった。
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