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「あ、そういえば、あなたの名前すら聞いてないじゃん!
名前は?年は?
…と、そういえば、なんでここにいるの?」
緊張が解けたらしく、彩子さんは俺に次々と訊ねてきた。
「俺は斎藤悠仁。21歳。
高橋とルームシェアしてるから、ここ、俺の家でもあるんです」
「ルームシェアか…なるほどね。
いきなり押しかけてごめんなさいね。
それと……今夜一晩、お世話になります」
かしこまったように三つ指をついて頭を下げる。
その姿が可愛らしくておかしくて、俺もそれを真似てみた。
「いえいえ、何も無いところですが、ゆっくりして下さい」
「ありがとう。悠仁くんが居なかったら、もっと辛かった。居てくれてよかった。ありがとう」
今までにないくらい柔らかい表情で、にっこり笑った。
この人が押し掛けてきて、帰れないとか言い出して、けっこう参ったけど…。
こんな顔して笑われたら、なんだかホッとして、嬉しくなってしまった。
こっちこそ良かったよ。
彩子さんが元気になってくれて。
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