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いつものとおり。
バイトから帰ってきたら、リビングに置き手紙があった。
「探さないでください」
ギャグかと思った。
だって、こんな古風な置き手紙、見たことないし。
だけど、高橋の部屋をあけると、もぬけの殻だった。
荷物という荷物は全て運び出されていて、ぽつんとベッドだけが置いてけぼりをくらって佇んでいた。
悪い冗談だろう。
そう思って、バスルーム、トイレ、ベランダ、あらゆるところを探した。
だが、高橋がここに居たという形跡すら残されていない。
…マジで?
急いで携帯を取り出し高橋を呼び出すが…
『…おかけになった電話番号は、現在使われておりません……』
携帯からは無機質な女の声が聞こえるだけだ。
あいつ、携帯まで変えてやがるのか。
「マジかよ…」
俺は途方に暮れて呟いた。
まさか本当に失踪したのか?
何があったんだ?
高橋よ!
ってか、家賃どうすんの?
高いんだぜ、ここ…
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