高橋を探せ

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「…これ」 俺はおびえながら、高橋の置き手紙を差し出した。 引ったくるようにそれを受け取ると、女はそれを読むなり、ワナワナと震えだした。 「なに、これ…」 「えっと、俺もよくわかりません。携帯も繋がらないし…」 正直、なんて言っていいのやら、わからない。 俺だって、急に居なくなって混乱してんだから。 俺が口ごもっていると、女は力なくその場に座り込んだ。 「なんなのよ…もぅ…」 …俺が訊きたいよ。 そんなことを思っていると。 先ほどの鬼の形相とは打って変わって、女は弱々しくポロポロと泣き始めた。 ちょ、ちょっと…。 どうすりゃいいんすか、俺。
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