仮・悟り?

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今、俺は生徒会室で死んでいる。 遡ること30分前… 「うぃーす、百合先輩!」 「こんちはー」 「お、我らが美形生徒会諸君。お茶頼むね」 早速人使い荒いしな。 いつものように三人で昼飯を食べ始める。 「そういや猫どうなったんですか?」 「あー、あれね。 クリステルが飼うことになったわ」 「へぇ。クリステルってほんとに猫好きだったんだ」 「ただし条件があるの! 一、陸君がクリステルを遥先生と呼ぶこと。 二、陸君が英語の授業の時に資料を配ったりアシストすること。あ、これはもちろん自分のクラスのみよ。 三、猫の名前を陸にすること。 さあ、どう?」 「どうって…嫌です」 「そう言うと思って、私が直接交渉を重ねた結果、見事1だけで良くなったわ!」 「…だから嫌ですよ」 「あら?あらあら? 私が頑張った成果を台無しにするつもりかしら、会計ちゃん?」 一気に不穏な空気が流れ出す。 「百合先輩!実はビックニュースがあるんですよ」 百合先輩のダークな空気を読み取れない亮太が、珍しくいいタイミングで助け船をくれた。 俺の新しいスキルを言うつもりだな。 でも何て説明するんだろ? 「なんと会計が!」 俺が? 「書記との同性愛に目覚めたんです!」 お前と!? 「亮「ちょっと!それ詳しく!!」 百合先輩の目が輝いている。 「はい、実は会計から愛のメールがありまして…」 「ふんふん、それで書記は何て答えたの?」 亮太、お前は一体どこまで話を大きくすれば気がすむんだ? 俺はただ、悟りを開いたとメールしただけだぞ。それがなぜお前とくっつかなきゃならん!! グルリ 亮太と真剣に話していた百合先輩がこっちを振り返った。 「陸君!陸君が開花してくれて私本当にうれしい! いえ、いいのよ。クリステルの事は忘れて。 二人の事応援するから、思う存分この生徒会室を活用して頂戴! あぁ、こんな最高の組み合わせを間近で見れるなんて!今日は記念日だわ!」 ガシッと手を掴まれてブンブンと上下に振られる。何の握手なのか、聞くのも怖い。 「それで、 ねぇ陸君? 陸君は襲う方?襲われる方?」 「俺は逃げる方です!」 「あら、新しいジャンル?それは楽しみ」 う。話が通じない… キッと生徒会書記こと亮太を睨みつけるが、ニヤニヤ笑っていて意味をなさない。 もうだめだ。 俺これからいっつも百合先輩にこんな扱いをされるんだ… うぅ、泣きたい…
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