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検査が終わった。
黒く分厚い扉に誘導される。滝内がカードキーを扉の読み込み口に差し込み、パスワード、指紋認証を済ます。
すごいセキュリティーだ…
中には棺桶のような形をしたカプセルが一つ。白い部屋に白いカプセル。
「これが、人格矯正装置だ。中の人間の脳に強力な電波を送り込む。思考回路をねじ曲げ、考え方から人格まで全てが変わる」
「本当ですか?」
やはり信じられない。今流行りの酸素カプセルと何ら変わりないように見えるこんな装置で…
「それを今から試すんだ。準備はいいかね白石くん?」
なぜ僕の名前を?と聞きたかったがやめた。多分、矢崎組の組長さんが話したんだろう。
「……大丈夫です」
声が震えた。どんな人間でも死ぬ前は嘆き、絶望すると言われているがどうやら本当らしい。
「よし、入ってくれ」
中は真っ白で、側面中に小さな穴が無数に空いている。
無数の目に見られているようで居心地が悪い。
「枕があるだろう?そっちを頭にして寝てくれ」
…硬く冷たい枕に頭を任せる。
「準備はいいな?」
最終警告。
宇宙に行く気分。
「始めて下さい」
久しぶりの大声だった。
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