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俺は闇の中にいた。
…ほんのりと空気の波にのってくる匂いが鼻をつく。
これは…コーヒーか?
…静かな空間。ここがどこだかは分からないが居心地は悪くなかった。
とその時だ
「聞こえるか!!」
体全体に響く声。どこかで聞いたことのあるような。
声がでない。俺は手で床を叩く
「今からバンダナを送るからそれで目を隠せ!!」
妙に興奮している。なんだか分からないが、断る理由はなかった。
俺はバンダナで視界を奪う。
「動くんじゃないぞ!!」
空気を抜いたような『ブシュー』という音。
…バンダナを通して見ても眩い光が辺りに広がっているのが分かる。
それと共に歓喜の声が。ここは野球場か?
「よく生きていた。さあ、手をつかんで」
顔も見えない奴の言うとおりに手さぐりで手をつかむ。
…暖かい手だ。血液の流れを感じた。
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