覚醒

2/11
前へ
/193ページ
次へ
俺は闇の中にいた。 …ほんのりと空気の波にのってくる匂いが鼻をつく。 これは…コーヒーか? …静かな空間。ここがどこだかは分からないが居心地は悪くなかった。 とその時だ 「聞こえるか!!」 体全体に響く声。どこかで聞いたことのあるような。 声がでない。俺は手で床を叩く 「今からバンダナを送るからそれで目を隠せ!!」 妙に興奮している。なんだか分からないが、断る理由はなかった。 俺はバンダナで視界を奪う。 「動くんじゃないぞ!!」 空気を抜いたような『ブシュー』という音。 …バンダナを通して見ても眩い光が辺りに広がっているのが分かる。 それと共に歓喜の声が。ここは野球場か? 「よく生きていた。さあ、手をつかんで」 顔も見えない奴の言うとおりに手さぐりで手をつかむ。 …暖かい手だ。血液の流れを感じた。
/193ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16769人が本棚に入れています
本棚に追加