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羽根が生えている事実自体驚くことだが、それより俺が目を奪われたのは羽根の姿。
かつてはあった翼を誰かにもがれたのか。
もはや飛べそうにない程小さな小さな“それ”は、酷く痛んで汚れているように見えた。
少女が口を開いた。
「だれ…?」
その瞳は虚ろで、何かに怯えているようだった。
少女に危険がないことを悟った俺は手に刀を携えたまま、目の前まで歩み寄った。
少女は僅かに戸惑いを見せたが、逃げはしなかった。
…いや、仮に逃げたかったのだとしてもできなかったんだ。
身にまとっている薄汚れたワンピースの間から覗く白くて細い足の先にある、硬い鉄枷と鎖が重そうに自身の存在を主張していたから。
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