第1章 ―舞い降りた雪―

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「えー、…お前が人間でない事は解った。転生使だかってのも信じよう」 俺は茶を啜りながら内心信じられない思いを頭で廻らせていた。 「あれ?やけにあっさり信じるんだね?あれだけ馬鹿にしてたのに」 「俺は目に見えて触れたものは信じるんだよ。お前は俺の目の前で飛んで、羽も本物だった。信じるのは当然だ」 さらに俺は続けた。 「ただ、やっぱりまだ状況に頭がついてけてないんだ、とりあえず詳しく聞かせてくれ」 「そうだった、そうだった。私の使命まだ言ってなかったね。私がゼウス様から出された使命は…」 真っ直ぐ俺を見つめる眼差し、相変わらず無表情は変わらない。 「私の使命は、あなたの夢を叶える事」 「はぁ?俺の夢を叶える?」 「そう。あなたが今現在持っている夢を叶える事、期限はあなたの夢をあなたの口から聞いてからきっかり365日。」 「待て待て待て!なんで俺なんだ?」 「そんなの私に聞かないでよ、ゼウス様が決めた事なんだから」 おい!神よ、俺はあんたに何かしたのか? 「…で?期限内に使命を果たせないとお前はどうなるんだ?」 「…消えるの」 「…消え?」 消える?何を言ってんだ? 「存在がなくなるの、もちろん生まれ変わる事も天使に戻る事も、悪魔になる事さえできない、文字通り消滅するの」 おいおいおい!まじかよ?存在の消滅? それは ちとヤバくないですかい? 「だから…」 女はテーブルに乗り上げグッと顔を近づけてきた。 「頑張って夢を叶えようね」 ニコッと笑う。 か…可愛いっ! じゃなくてぇぇ! それって俺、責任重大じゃないか?俺の夢が叶わなかったら、こいつは消える? 「もしかして、超重大任務?」 俺は苦笑いで問う。 「うん!」 そんな…。満面の笑みでかえすなよ…。 「さぁ、あなたの夢を言って。契約しなきゃ」 「契約?」 「そう、契約。あなたの夢を私が聞いて、それを叶えるために必要最低限の神力をゼウス様から頂くの。その神力であなたが夢を叶える手助けをするってわけ」 ボーン、ボーン… 壁にかけられた時計が零時を告げた。 「解ったよ…俺の夢は…」 さらば、俺の平和な日常。
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