第2章 ―歩み寄る時―

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-2004年12月25日 AM8:00- ピピピッ ピピピッ… 朝の光の中、けたたましく鳴り響く目覚まし時計。 「ん…あ?」 手探りで時計を探しアラームを止める。 「んっあぁぁ、朝かぁ…」 俺は寝癖のついた頭をボリボリとかく。 シャッとカーテンを開いて部屋いっぱいに朝日を入れる。 「ん?…うわっっ!」 ベッドで寝ている昨晩の転生使に驚き思わず声を出す。 あぁ、そういやそうだった。こいつがいるの忘れてた。 ていうか夢じゃなかったんだ…。 「おい、起きろ。朝だ」 俺は自分のベッドで寝息をたてる見た目は天使みたいな面構えの転生使を起こす。 「んんっ…?…ふっあぁぁっあ、むにゃむにゃ。ん~?ん。おはよ、ハル」 ちっ!可愛いじゃねぇかチクショウ。 「あ、あぁ、おはよう。朝飯何が食いたい?っても目玉焼きかスクランブルエッグくらいだけどな」 「目玉焼き!」 「了解、じゃあ作り終わる前にお前風呂入ってこい。昨日入ってないだろ?」 「ん、わかった」 パタパタと風呂場に向かっていった。 「あ、間違えた…」 そっちはトイレだ。 「さてっと…」 卵を取り出し手慣れた手つきで卵をフライパンに落とす。 「初めてだな、二人分作るのは…」 自然と笑顔がこぼれる。 こういうのも悪くない。 料理をテーブルに運び、準備完了。 「ハ~ル~」 いいタイミングだ。 「飯出来てるぞ、早くこいよ」 奴は風呂場から声を発しただけで出てくる気配がない。 「着替え~…」 あっ…忘れてた。 「これ…着とけ…」 風呂場の扉を少し開け、服だけ押し込み扉を閉めた。 もちろん何も見てないぞっ!…うん、何も…。 「ハル~、ちょっと大きいよぉ」 そうだよな。見た感じ結構細くて小柄な体つきだったし…。あっ!いや、見てないからな!何もっ! 「むぅ、なんかスースーする…」 文句を言いながら出て来た。 「さすがチビ」 うんっ!ありだっ!いやむしろこれしかないっ! ダボダボジーパンに手が出てないパーカー…。 いいっ! 「チビって言うな!もうっ、自分のに着替える!」 「あぁ待て待て、あれはやめとけ」 あんなどっかの民族衣装みたいなの着せれるか。 「え?なんで~?」 「いいから、飯食え。そしたらお前の服買いに行くから」 「ほんと?わーい」 無邪気で可愛いとこもあるんだけどな…。
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