第2章 ―歩み寄る時―

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「っあぁ~、疲れた」 沙弥の服が入った袋をベンチに置き、自らもドカッと座り込む。 「朝から出たのにもう夕方かよ…」 太陽は西に傾き、空はオレンジ色に染まっていた。 「お疲れ様。ハイ、これ」 笑顔で鯛焼きを俺の前に突き出す沙弥。 「おっ、ありがと」 たまには気が利くじゃないか。 「いいよ~、ハルのお金だしね」 前言撤回! 自宅から少し離れた場所にある、ここ泉公園はよく行く神成公園から結構近くにある小さな公園だ。 その公園で休憩中な俺達。 「ねぇ、ハル~。お腹空いたよぉ」 「今鯛焼き食ったばっかじゃねぇか」 ていうか転生使とかでもやっぱり腹は空くのか。今朝も爆睡してたし…、俺ら人間とあんまり変わらないんだな。 「早く帰って晩御飯食べようよぉ」 噛み合ってねぇなぁ、会話。 「わかったわかった、じゃ帰ろうか」 どーせ作るのは俺だろ? 「夕日綺麗だったね、ハル」 帰り道、沙弥が突然言い出した。 「そうだな…」 「また見に来ようね?」 「あぁ、そうしよう」 夕日ごときに何をって思ったけど、無邪気な沙弥はまるで子供の様で可愛かった。 契約をしたあの瞬間から、沙弥は変わった。無表情な沙弥は消えて、女の子になっていた。 見た目は丸っきり人間なのに、こいつは転生使なんだよな…。 生まれ変わるために俺の願いを…か。 まだなんにもこいつの事わかんないけど、頑張ってやるか。 あと一年…。 長いようで実際結構短いんだよな…。なんとかしてやるよ。 光りはじめた星に、心の中で誓った。
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