第2章 ―歩み寄る時―

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-12月26日 AM 8:00- 「んっ…あぁ~」 ベッドから体を起こすと大きくあくびをする。 「目覚ましなる前に起きるなんて…歳かな……って!なっ…!」 な、なんで沙弥が隣に!こいつ、いつの間に潜り込みやがったんだ。 ん~と…、とりあえず起こさないようにっと…。 「んっ?…んあ?っっ!」 あ、起きた。 「ふぇ?」 あ~と、タイミング悪くない? 今まさにベッドから降りようとした俺は沙弥をまたごうとしたわけだよ。 んでちょうど俺が沙弥に覆いかぶさる形になった時に起きたわけだから…。 「なっ!ハルっ!」 解るっ!言いたい事はとてもよく解るよ。 誰でもそう思うよね? 「いやっ、そのっ…これはだね、つまり…」 あ?なに? 沙弥さん?そのバットはどこから出したの? 「ハルぅ?覚悟はいいかな?まさか寝込みを襲うなんてね~、やっぱり男は狼さんなんだねぇ…」 立ったよ旗。 死亡フラグがね…。 「っ!ひっ…あっ、ぎゃあぁあぁぁあ…」 お母さん、先立つ息子をお許し下さい…。 -駅前 AM10:00- 「なぁんだ、それならそうと早く言ってよね」 「そうだな」 生きてます。 死にません勝つまでは。 「ハルぅ、まだ怒ってるの?ごめんねぇ」 一応怒ったフリをしている俺。 別にすがりついて謝って来る沙弥が可愛いからやってるんじゃないよ? ちなみに今日は沙弥の食器やら布団やら、日用品を購入しに近くのデパートまで繰り出すことにした。 やはり沙弥はこういった、物や人がたくさんいる所が好き…というか珍しいらしくとてもはしゃいでいた。 「まるで子守だな…」 そんな事を言いながらも、内心俺も楽しんでいた。 こんなふうに誰かと買い物なんて何年ぶりだろう…。 沙弥という存在はこの時、確かに俺の心に根付いた。
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