序章 ―白い毛糸―

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-2007年12月24日 PM5:00- 東京ドーム たくさんの人達が長蛇の列を作り、ドームの周りを賑わせていた。 ドームの至る所に段幕が掲げられ、こう書かれていた。 『宮城 ハル X'masライブ』 [宮城 ハル] 二年前にデビュー。わずか半年でトップアーティストの仲間入りを果たし、その後常に音楽界のトップクラスに位置し続ける歌手だ。 -PM6:00- ドームの扉が開き人々は次々と中へと流れ込んで行った。 ホールの中はしばらくの間ざわめきがおさまらなかった。 楽しそうに連れと話している者や、席に大人しく座りライブの開始を今か今かと待っている者など、様々な人がいる。 -PM6:50- ビーーー…。 ドーム内にブザーが鳴り響きライトが落ちた。 「本日は2007年 宮城 ハル X'masライブにお越し頂き、誠に有り難うございます。もう間もなく開演となります、まだ御席につかれていないお客様はお急ぎ御着席下さいますようお願い申し上げます。繰り返しお知らせ致します……」 ドームはいくらか静かになり、その時を待っていた。 -PM7:00- ドームに音楽が響き渡る。それとほぼ同時に観客達は歓声を上げた。 幕が上がり観客のテンションは更に高くなる。 そしてステージの中央に一人の男が現れた。 「みなさん!こんばんわ」 男が言葉を放った瞬間、至る所から様々な言葉が放たれる。 まさに黄色い歓声だ。 「今日は寒い中、俺のライブに来てくれてありがとう。早速一曲目、聴いてください」 宮城 ハルは歌い出した。
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