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「なぁっ…何やってんだ!危ねぇから降りろって!」
俺の言っている事なんて耳に入っていないのか、彼女は星を見上げている。
そして振り返り俺を見て言った。
「見ててね」
女はニコッと笑い、そのまま頭から飛び降りた。
「…ッッ!」
なっ!馬鹿!ここ3階!しっ…死んだー。
「おいっっ!」
俺はベランダから身を乗り出し下を見た。
「…あれ?いない?」
確かに飛び降りたはずなのに…あるはずの死体が…。
「ここだよ」
頭上からの声に俺は驚いた。
「わっ!」
白っ!…じゃなくていつの間に?…でもなくてっ!
「な…なななんだよ…その羽みたいな…」
あまりの出来事に俺の声は震えていた。
「それより…お前なんなんだ?…な、なんで宙に浮いてんだよ!」
彼女は銀色の大きな羽を広げ笑いながらこちらを見ている。
女の足元には…なにもない。
文字通り浮いていた。
俺は腰を抜かし尻餅をつく。
「なっ、な…なっ!」
俺は言葉にならない言葉を発しながら体を震わせていた。
「コレは羽だよ?信じてくれたかな?私は転生使、人間じゃないんだよ?」
そう言いながらベランダに降り立つと、銀色の綺麗な羽で俺を撫でた後、羽は小さくたたまれた。
「とりあえず寒いし、中入ろっか」
笑顔の彼女に俺は何も言えなかった。
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