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突き付けられた幻想でもない紛れもない現実を受け入れられずにいる
そのまま相手に軽く覆い被さるような体勢のままで動けないでいれば、不意に自分の頭を撫でられてるような気がした
否、気がしたんじゃなく確かに、少しずつ撫でられている
バッと頭をあげて日番谷を確かめるようと目を擦り見てみる
目が開いた。
最早、閉じそうだが彼の目は真っ直ぐ此方を捕らえていたのである。
そして、彼は微かな口を開き何かを伝えようとしている
慌てて呼吸器で阻害されるが耳を近づけ聞き耳を立てる
“ ”
だが機械音が邪魔するのか聞き取れずあたふたしていれば、信じられないが日番谷自身、震える手を使い呼吸器を外したのだ
それをみた市丸は、死を思い知らされたが日番谷が何かを伝えようとして居るならば聞かなくてはと泣きながらにして耳を口元に近付ける
聞き取れたのは
“幸せだったんだ俺、有難うな、ギン…”
その一言を皮切りに、彼は碧翠を堪えたまま目を閉じ、呼吸を止めた。
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